1、 病態
腎臓は尿を作る部分(腎実質)と尿が流れる部分(腎盂)とにわかれており、腎実質から発生する癌を腎癌という。腎盂から発生する癌は腎盂癌と呼ばれ腎がんとは組織も治療法も異なる。日本人の腎癌の発生率は10万人あたり8~10人といわれており、男女比は3:1で現在も増加傾向にある。病理組織型や臨床像のまったく異なる複数の腫瘍亜型集合体であることが明らかになっている。
日常生活に関連するリスクファクターは肥満、喫煙、高血圧などがある。また、長期の透析患者で腎癌の発生頻度が高いことはよく知られており、後天性のう胞性腎疾患(ACDK)の存在が大きな因子とされている。
2、 症状
血尿、腫瘤、疼痛が三大症状と言われているが、近年ではこれらがそろうことはむしろ少ない。大部分は検診や他の疾患の検査中に偶然みつかる。進行すると発熱や貧血を伴うことがある。
3、 診断
検査所見では血尿、貧血、ときにC反応性タンパク(CRP)の上昇や赤沈の亢進をみとめることがあるが超音波検査、CT、MRIが診断に有用である。近年、検診のCTや超音波検査で腎腫瘍が偶然発見される例が増えている。
4、 治療
腎癌の治療は、可能な限り根治的腎摘除術が行われる。4㎝以下の小さな腫瘍に対しては、(T1a)の場合には、腎機能温存のために腫瘍のみを摘出する腎部分切除術も行われる。