手術直後
1.出血の有無
 人工関節の手術では、術中、駆血帯を使用するため出血量は少ない。しかし、術後に出血が持続し、予想以上に多量になる場合がある。したがって術直後からバイタルサインの測定と合わせて、ドレーンからの出血量をチェックし、出血性ショックの発生を予防する。

2.感染の予防
 人工関節は生体にとっては大きな異物であり、ごくわずかな細菌でも感染を起こす誘因となる。人工関節にいったん感染が起これば、せっかく挿入した人工関節をすべて除去しなければ感染が鎮静化しない場合もある。
 そのため、術後は創部の汚染に注意し、包帯交換は無菌操作で行う。創部には血液や浸出液が貯留しないような持続ドレーンが挿入されるが、挿入中は逆行感染に注意して管理する。また、急激な発熱や局所の疼痛、発赤、腫脹が出現した場合には感染を疑う。

3.循環障害の予防
 人工膝関節の術後に下肢の腫脹や浮腫が強い場合には、循環障害を起こす危険性がある。とくに下肢に起こる前頸骨症候群は腓骨神経麻痺の症状と類似しているため、疼痛の十分な観察を行い、徴候を早期に発見する。循環障害の予防対策として、枕やスポンジ、架台で患肢を挙上し、下腿の腫脹や浮腫の軽減に努める。

4.深部静脈血栓の予防
 人工膝関節の術後は下腿を挙上するために枕や架台を使用するが、これらの支持枕が膝窩部の静脈を圧迫すると、静脈のうっ滞に繋がるので注意する。またこの静脈血栓が遊離して、肺の動脈を閉塞すると肺塞栓が起こり、術後の死亡原因ともなるので、予防が重要である。

5.神経障害の予防
 人工膝関節の術後で最も注意すべき神経障害は、腓骨神経麻痺である。腓骨神経麻痺が生じると、前頸骨筋の拮抗筋である下腿三頭筋が優位に働き、尖足を起こし歩行に障害を起こすため、良肢位の保持と補正、運動、知覚の観察を行い、予防しなければならない。とくに腓骨神経は腓骨頭の上を走行しており、外部からの圧迫などにより障害を受けやすい。

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