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1.麻痺の定義

 麻痺とは、大脳皮質の運動領野から筋肉までの経路で障害が起き、筋の収縮力が弱くなり、随意運動ができない状態をいう。

2.麻痺の病態

 随意運動を司る神経線維は、大脳皮質の運動野の神経細胞に始まり、内包、大脳脚、橋、延髄錐体を下降して延髄下部で対側に交差する。さらに脊髄を下降し、脊髄前核に連絡している。これらの経路のどの部分が障害されても四肢の運動麻痺は起こる。

3.麻痺の分類

程度による分類 完全麻痺 運動が全く出来ない状態

不完全麻痺 ある程度の運動は出来るが、筋力の低下を来している状態。

性質による分類 痙性麻痺 筋の緊張が亢進して起こる痙性状態

他動的に動かすと抵抗の増大が見られる。

筋・腱は短縮傾向

四肢の変性を来す。

中枢神経の障害により起こる。

弛緩性麻痺 筋緊張が低下し、他動的に動かすと筋の抵抗は弱い。

腱の反射は減退もしくは消失し、筋の萎縮を伴うこともある。

多くは末梢神経の障害により起こるが、中枢神経障害によっても起こる。

原因による分類 中枢性麻痺 大脳皮質から内包、脳幹、脊髄を経て脊髄前核の経路に生じる障害

(上位ニューロン障害)

末梢性麻痺 脊髄前核から末梢経路へ生じる障害(下位ニューロン障害)

麻痺の範囲による分類 単麻痺 上下肢のうち、一肢だけに生じる麻痺

大脳皮質運動野か脊椎前核以下に生じる下位運動神経障害

前大脳動脈閉塞で下肢の単麻痺を起こしやすい。

片麻痺 身体の一側の上下肢に生じた麻痺

放線冠、内包、橋底部などの障害で起こりやすい。

顔面神経麻痺や舌神経麻痺が、片麻痺と同側の場合は橋側よりも頭側で生じる障害

顔面神経麻痺が片麻痺と反対側の場合は、橋下部より尾側で生じる障害

対麻痺 両側下肢に生じる麻痺

脊髄障害で起こることが多いが、稀に両側大脳頭頂部の障害でも起こる。

四肢麻痺 上下肢の両側性に生じる麻痺

大脳両側脳幹、頸髄、末梢神経、筋肉などのいずれの障害でも起こる。

交代性片麻痺 脳神経の障害による同側の麻痺と、反対側の上下肢に生じる麻痺

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